2023年3月5日
北海道道立道民活動センターかでるホールにて開催されたのは「聾者弁護士」を招いた
講演会でした。
耳の日を記念し、聴覚障害者と手話を学ぶ市民、また一般の市民と手を取り合って
明日への生きる喜びを分かち合う事を目的として開催されているとの事。
この日初めて参加しました。
最初の挨拶での公益社団法人札幌聴覚者障害者協会 理事長からの言葉で
印象に残っているのが太陽は東から昇り西に沈む。毎日常に繰り返される。
手話で言う「生活」この手話の表現に似ていると思うと言う言葉で、
自分が手話を学び始めてから何気なく使っていた事に改めて「日常の生活」
の意味にはっとしました。
招かれた弁護士のお名前は【松田 陵】氏。現在全国で12人位?いるろう弁護士の中で
一番若い弁護士との事でした。
山形県出身。雪深い場所で生まれ、今の生活している東京では雪はなく、札幌で雪を見る
事が出来て嬉しいと思う。懐かしいですと、とびっきりの笑顔から始まった講演会。
生まれた時から耳が聞こえなく原因は不明。1歳半の時に診断されたとお話し
されていました。
学びの中で教科書の中に「人には人権がある」とあった事。
【人権】とは何だろう?法律とは?社会とは何かと興味が湧き、大学へ。
弁護士への道のきっかけは大学1年生の時に出会ったろう弁護士の先輩に出会い色々お話し
できた事。その時には漠然としたイメージしかなく
【凄い!聾者で弁護士!!】と思っていたそうです。
更に学びを進めその中で法律を学び、仕事に悩んだ時弁護士という存在に気が付いた
と話していました。
松田先生はその時に弁護士として働きたい。仲間と一緒に目標を持てたとも話していました。
大学院に進み、敢えて法律の知識を持っている人にパソコンテイクの協力をお願いし、
自分の意見を聞いてもらい、尊重してもらう。そんな努力も一回目の試験は不合格。
理由は勉強不足が占めていたとのお話。その後並大抵な努力ではなく、
猛勉強して二回目で合格。
弁護士として何を支援できるのか。から始まった仕事。全国に居る聾者弁護士の中で手話が
出来る弁護士は4~5人。12人中、半分が東京に在中している事。まだまだ足りない事。
わたしはここで、北海道や札幌にも手話が出来る弁護士が誕生したらもっと色々な事が
変わっていくのではと思いました。
生まれつき権利を有している事が「人権」であり、医学モデルの文献には「障害は個人の責任
ではない」とある事。【旧優生保護法】に関する当時の背景からのお話し、
国が認めているのだからと当事者の気持ちを無視しての実行。過去の深い悲しみの歴史の
中での沢山の気持ちが今に伝えられて未来に繋がるのだと感じました。
更には実際の聴覚障害者の弁護による事例、国の支援の仕方や考え方が
このままで良い訳がないこと、弱い立場の人たちに個人が頑張ればそれで良いと
イメージしている事自体がおかしいとも話していました。
松田先生の今後の目標もお話しされていました。
相談に対して、ただ一生懸命仕事をするだけ。相談しやすい環境を作っていきたい事。
もっと聾者、難聴者の弁護士が増えてほしい事。力を合わせて差別をなくしたい事。
色々お話しを聞いて、松田弁護士の大きくて強い信念や、想いを感じました。
貴重な講演が聞けて良かったです。
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